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それにしても人はなぜ理想像に固執するのであろうか。それはやはり、神経症だからであろう。
あれもやろう、これもやろうと欲張った結果である。
自分の能力をオーバーするようなことをしているから焦るのである。
そして、自分の能力をオーバーするようなことをしてしまうのは、
実際の自分に満足していないからである。実際の自分に怒りがあるからである。
迷う人は、自分の優柔不断を他人のせいにして、他人に怒るということがある。
転勤するか、それともその会社を辞めるかとか悩むそれは誰にとっても迷いであろう。
しかし、優柔不断な人とそうでない人との違いは、決められないことを自分の不決断と考えるか、
奥さんのせいにするかの違いである。
どちらにも決められない時に、相手の優柔不断のせいにする男がいる。
自分が転勤を受け入れるか、会社を辞めるかを決められないでいる。
ところが、奥さんが転勤を嫌がるから転勤の決断ができないと、
自分の優柔不断を奥さんのわがままということで正当化する。
奥さんがわがままということは単なる口実に過ぎない。
そして、決められないで時が過ぎていくということに腹を立てる。
その怒りを相手に向ける。相手がわがままだから、このようになるというように、
自分の優柔不断を相手のわがままにすり替えて相手に怒る。
しかし相手を責めていても解決はしない。
どうするかを決めなければならないのは相手ではなく、自分だからである。
相手に怒ったから自然に問題が解決するというものでもない。
物事は決めるべき時に決められないでいると、次第に追い詰められていく。
そして、さらに相手に腹を立てる。
相手を怒っているうちに、いよいよ悪いのは自分ではない、相手であると思い込み始める。
自分が責任を取ろうとすれば決断はできる。
優柔不断は責任を逃れようとする人の特徴である。
転勤の決断をすれば転勤に伴う様々な困難は生じてくる。
その困難に正面から立ち向かっていく覚悟がある限り、最後には決断できる。
しかし、その転勤に伴う困難を避けようとすれば、転勤の決断はできない。
自分の人生の責任は自分が背負う、という覚悟があるかないかである。
転勤に伴う困難を避けようとすれば、会社を辞めるということを考えざるを得ない。
そして、やっぱり会社を辞めようかと考える。
しかし会社を辞めれば辞めたで、それに伴う困難がある。
退社に伴う困難がないなら誰も迷いはしない。
退社すれば退社したで、明日からの生活を誰でも考える。